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リベット継ぎ手|Abaqus チュートリアル
今回は接触問題を取り扱います。題材としては付属のマニュアルにも掲載されているリベット
継ぎ手の解析を行います。
<目次>
概要
プレートの作成
リベットの作成
材料定義
要素特性の定義と割り当て
モデルのアセンブリ
集合の作成
解析ステップの定義 リベット継ぎ手の解析
接触条件の定義
境界条件の定義
モデルのメッシュ分割
解析ジョブの作成と投入
解析結果の表示
概要
構造解析における非線形には、1.材料非線形、2.幾何学的非線形、3.境界非線形の 3 つがあり
ます。前回までに 1,2 は説明しましたので今回は 3 つ目の境界非線形、つまり接触を含む解析方
法について説明します。
その他、今回のチュートリアルにて、アセンブリモデルの作成方法、集合を用いた境界条件の
設定方法、実測値に基づいた非線形材料特性の設定方法などについても説明していますので、合
わせて参考にしていただければと思います。
今回モデリングするリベット継ぎ手の解析条件は以下の通りです。2 枚のプレートをリベット
止して強制的に引張る解析です。対称性を考慮してハーフモデルとなっています。
解析条件
プレートの作成
パートの作成
モデルツリーのパート上で右クリックして現れるメニューにおいて作成をピックします。ちな
みにパートをダブルクリックすることでも同じ操作をすることができます。
以下のパートの作成ダイアログにより、どのような形状作成するのかを定義します。ここでは
3D モデルを作成しますので、名前:plate、モデリング空間:3 次元、タイプ:変形体、形状:ソ
リッド、タイプ:押し出し、近似サイズ:100 を入力します。
設定が終わりましたら、続けるのボタンをクリックします。これによりビューポートはグリッ
ドが表示されたスケッチ画面に切り替わります。
プレート外形のスケッチ
すでに慣れてきたと思いますので簡単に説明します。
"直線の作成、矩形(4 ライン)"により、ビューポート上でプレートの頂点となる対角の 2 点をクリ
ックします。続いて下図に示す寸法となるように、
"寸法の追加"により寸法を追加します。今回は縦 10mm、横 30mm、板厚 1.5mm のプレートを作
成します。
奥行きの定義
寸法定義が終わりましたら、Esc で寸法定義の状態から抜けてプロンプトエリアの完了ボタン
をクリックします。そうしますと、プレートの厚みを入力する"ベースの押し出しの編集"ダイア
ログが現れますので、奥行きに.1.5 と入力し、OK ボタンをクリック。
下図のように 3D モデルができました。
穴の作成
次にリベットを通す穴を作成します。ツールボックスエリアから
"切り出しの作成:押し出し"をクリックします。下図のように①穴をスケッチする面をクリック、
②スケッチ面の基準となる右側のエッジをクリックします。
スケッチ画面に切り替わりますので、下図のような円を
"円の作成:中心と外周点"を使ってスケッチします。、
"寸法の追加"により左下端から 7.5mm の位置に R2.5 の円を作成してください。
寸法の入力が終わりましたら、Esc を押すかプロンプトエリアの×ボタンを押して寸法追加の
状態から抜け、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。
次に現れる切り出し押し出しの編集ダイアログにおいて、タイプに貫通を選択して OK ボタン
をクリックします。
下図のようなプレートの 3D モデルが完成しました。
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リベットの作成
パートの作成
モデルツリーのパート上で右クリックして現れるメニューにおいて作成をピックします。
以下のパートの作成ダイアログにおいて、名前:rivet、モデリング空間:3 次元、タイプ:変
形体、形状:ソリッド、タイプ:回転、近似サイズ:20 を入力します。
設定が終わりましたら、続けるのボタンをクリックします。これによりビューポートはグリッ
ドが表示されたスケッチ画面に切り替わります。
リベットのスケッチ
スケッチ画面で下図のような形状を作成します。大まかな外形作成には
"直線の作成:結合"を使用すると便利です。
"寸法の追加"により下図に示す寸法を追加します。同じ寸法のところは
"拘束の追加"の同長を利用してもよいかもしれません。回転中心が水色の点線になりますので注意
してください。
マニュアルではフィレットや面取りを追加していますが、要素数増えそうですし、本チュート
リアルの本筋ではないので省略します。
寸法の入力が終わりましたら、Esc を押すかプロンプトエリアの×ボタンを押して寸法追加の
状態から抜け、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。
回転角度の定義
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材料の定義
今回はプレートとリベットで 2 種類の材料特性を定義します。プレートはアルミニウム合金、
リベットはチタン合金とします。
プレートの材料特性
まずはプレートの材料特性を定義していきます。モデルツリーにおいて材料特性の項目の右ク
リックメニューから"作成"を選択(材料特性の項目をダブルクリックでも可)。
上記操作によって現れる"材料特性の編集"ダイアログにおいて、名前に"aluminium"と入力しま
す。さらにダイアログ内メニューの機械的/弾性/弾性を選択し、ヤング率 71700000mN/mm^2、
Poisson 比 0.33 と入力します。
次に非線形の材料特性を定義します。前回は降伏後は一定の応力とした弾完全塑性体として簡
易的に定義しましたが、実験に基づくデータを入力するイメージで下図のようなデータを使用し
ます。このデータは基本的にマニュアルと同じですが、単位系だけ mN 系に変更しています。
データは以下です。html でテーブル作成するの面倒なので絵で貼ってしまいました・・。これ
を写すよりマニュアルからコピペして単位系をエクセルで修正した方が早いかもしれません。
これらのデータをダイアログ内メニューの機械的/塑性/金属塑性を選択して現れるデータテー
ブルに以下のように入力します。エクセルからコピペできますので入力は簡単です。
入力が終わりましたら、OK ボタンをクリックします。
リベットの材料特性
Abaqus に入力する非線形の材料特性は真応力/塑性ひずみ線図となります。材料の引張試験で
主に得られる公称応力/公称ひずみ線図からの変換方法は、以下を参考にしてください。
公称応力から真応力に変換する方法
公称ひずみを真ひずみに変換する方法
真ひずみから塑性ひずみに変換する方法
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要素特性の定義と割り当て
要素特性の定義
モデルツリーにおいて、要素特性の項目の右クリックメニューから"作成"を選択(要素特性の項
目をダブルクリックでも可)。この時、自動で特性モジュールに切り替わります。
要素特性の割り当て
上記で定義した要素の特性を 3D モデルに対して割り当てます。モデルツリーにおいて、パー
ト、Plate をそれぞれ展開します。plate の下位にある要素特性割り当てという項目の右クリック
メニューから"作成"を選択します。
プロンプトエリアに"要素特性を割り当てる領域を選択してください"と出ますので、この状態
でビューポート上の 3D モデル(plate)をクリックします。正しく選択されましたらプロンプトエ
リアの完了ボタンをクリックします。
上記操作で現れる"要素特性割り当ての編集"ダイアログの要素特性で、先ほど定義した plate を
選択して、OK ボタンをクリックします。これにより plate に材料特性をセットした要素特性が割
り当てられました。
同様にリベットに対しても要素特性を割り当てます。
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モデルのアセンブリ
これまでは単品のアセンブリでしたが今回は複数部品をアセンブリします。
プレートのインスタンス作成
モデルツリーでアセンブリを展開してインスタンスの項目上の右クリックメニューから"作成"
を選択します。この時、自動でアセンブリモジュールに切り替わります。
"インスタンスの作成"ダイアログにおいて、パートから plate を選択、インスタンスタイプをデ
ィペンデントに設定して適用ボタンをクリックします。
さらにもう一枚のプレートを配置します。"インスタンスの作成"ダイアログにおいて、パート
から plate を選択、インスタンスタイプをディペンデントに設定、他のインスタンスからの自動オ
フセットにチェックして適用ボタンをクリックします。
下図のように 2 枚のプレートが配置されましたら、インスタンスの作成ダイアログはキャンセ
ルボタンを押して閉じます。
拘束の定義
プレートを適切に配置するために拘束を作成します。拘束とは解析に必要な境界条件の拘束で
はなく、配置に必要な拘束のことです。
ツールボックスエリアから
"拘束の作成:フェイスとフェイス"をクリックします。モデルを回転させて下図のような状態にし
、駆動インスタンスのフェイスとして左側の面、固定インスタンスのフェイスとして右側の面を
モデル上でクリックして選択します。
必要があればプロンプトエリアの反転ボタンをクリックして下図のような矢印の方向になるよ
うにします。よければ OK ボタンをクリックします。オフセットの寸法を聞いてきますが 0 のま
ま Enter キーを押して確定します。
駆動インスタンスに設定した方が動きます。とりあえず下図のような状態になりました。
さらに拘束を追加していきます。ツールボックスエリアから
"拘束の作成:エッジに平行"をクリックします。駆動インスタンスのエッジとして左側プレートの
エッジ、固定インスタンスのエッジとして右側のプレートのエッジをそれぞれ下図のように選択
します。
このとき矢印の向きが一致するように、必要なら反転ボタンをクリックしてください。よけれ
ばプロンプトエリアの OK ボタンをクリックします。
さらに拘束を追加していきます。ツールボックスエリアから
"拘束の作成:同軸"をクリックします。駆動インスタンスのフェイスとして左側プレートの円筒フ
ェイス、固定インスタンスのフェイスとして右側プレートの円筒フェイスを選択します。
矢印の向きが一致するように、必要ならば反転ボタンをクリックしてください。よければプロ
ンプトエリアの OK ボタンをクリックします。
やり方はいろいろあると思いますが、とりあえず下図のように配置されていればよいです。い
ろいろな拘束方法など試してみてください。
リベットのインスタンス作成と配置
モデルツリーのインスタンスの右クリックメニューから"作成"を選択します。インスタンスの
作成ダイアログにおいて、今度は rivet を選択して OK ボタンをクリックします。
拘束を追加して適切に配置します。ツールボックスエリアから
"拘束の作成:同軸"をクリックします。駆動インスタンスのフェイスとしてリベットの円筒フェイ
ス、固定インスタンスのフェイスとしてプレートの円筒フェイスを選択します。
矢印の向きが一致するように、必要ならば反転ボタンをクリックしてください。よければプロ
ンプトエリアの OK ボタンをクリックします。
下図のような配置になれば完成です。
(参考)
もしリベットが逆についてしまうなど、うまくいかない場合は、編集したい拘束の項目で右ク
リックメニューから編集をクリックして、フューチャーの編集ダイアログにおいて整列方向の反
転をしてみてください。
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集合の作成
荷重や境界条件を設定するのに使用されるジオメトリ集合を定義します。
モデルツリーを展開してアセンブリの下の集合の右クリックメニューから作成をクリックしま
す。
集合の作成ダイアログにおいて、名前に corner と入力して続けるボタンをクリックします。
下図中に示す左手前の角の点を選択し、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。
同様の手順で以下の集合を作成ください。
集合名:fix
集合名:pull
解析ステップの作成方法
モデルツリーにおいて、ステップの右クリックメニューから"作成"を選択します。この時、ス
テップモジュールに自動で切り替わります。
上記操作で現れる"ステップの作成"ダイアログにおいて、プロシージャタイプ:一般、Static,G
eneral を選択して、続けるボタンをクリック。名前を適宜変更しても構いません。
上記操作で現れる"ステップの編集"ダイアログにおいて、Nlgeom をオンにチェックし、OK ボ
タンをクリックします。これがいわゆる幾何学的非線形を有効にする設定です。
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接触条件の定義
相互作用特性の定義
まずは接触の特性について定義していきます。モデルツリーにおいて相互作用特性の右クリッ
クメニューから作成をクリックします。
相互作用特性の作成ダイアログにおいて、接触を選択して続けるボタンをクリックします。
接触特性の編集ダイアログのメニュー、機械的/接触接戦方向の挙動を選択します。摩擦の定式
化にはペナルティを選択、摩擦係数に 0.05 を入力します。その他はデフォルト値を採用して OK
ボタンをクリックします。
相互作用の定義
モデルツリーの相互作用の右クリックメニューから作成をクリックします。
相互作用の作成ダイアログにおいて、ステップ:Initial、選択されたステップに対するタイプ:
一般接触(Standard)を選択し、続けるボタンをクリックします。
続く相互作用の編集ダイアログにおいて、含めるサーフェス対:すべて*(自己接触含む)を選択
し、接触特性の全体の特性割り当て:fric(先ほど作成した相互作用特性)を選択します。最後に O
K ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。
個別に接触面を指定したりなどもできますが、この方法が最も簡単な方法です。モデル規模が
小さいときはこの方法が便利でしょう。しかし規模が大きい場合などにすべての接触を含ませて
しまうと、計算時間が無駄にかかったりしますので、その場合は接触する部位のみに接触条件を
設定するために個別選択などの方法をとります。
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境界条件の定義
モデルツリーにおいて、境界条件の右クリックメニューから"作成"を選択します。
上記操作で現れる"境界条件の作成"ダイアログにおいて、名前:fix、ステップ:step-
1、カテゴリ:機械的、タイプ:変位/回転、を選択し、"続ける"ボタンをクリック。
今回は集合を予め設定していますので、集合を用いて境界条件を設定します。プロンプトエリ
アにある集合ボタンをクリックします。
境界条件の編集ダイアログにおいて対称の条件を選択します。今回は対称面が y 面なので 2 番
目の YSYMM を選択します。
<補足>
U は並進変位を表し、UR は回転変位を表します。後に続く数値は方向を表し、1,2,3 はそれぞれ
x,y,z を表します。
(→このページのトップに移動)
モデルのメッシュ分割
メッシュモジュールへの切り替え
モデルツリーにおいて、パート/plate まで展開し、メッシュという項目が表示されるようにし
ます。次にメッシュ(空)の項目の右クリックメニューからコンテキストの切り替えを選択します。
ダブルクリックでも同じ操作が行えます。
メッシュコントロールの設定
メッシュコントロールとはどのような形状の要素をどのように作成するかを決める設定です。
ツールボックスエリアから メッシュコントロールの割り当てをクリックします。
下図に示す"メッシュコントロール"ダイアログにおいて、要素形状:6 面体、テクニック:スイ
ープを選択します。このモデルではこれがデフォルですので確認だけになるかと思います。最後
に OK ボタンをクリックしてメッシュコントロールの設定を終了します。
要素タイプの割り当て
ツールボックスエリアから 要素タイプの割り当てをクリックします。
上記操作で現れる"要素タイプ"ダイアログにおいて、要素ライブラリ:Standard、ジオメトリ
次数:線形、ファミリ:3 次元応力、6 面体の要素コントロール:非適合モードを選択します。ほ
とんどデフォルトですので非適合モードについてだけ設定すればよいと思います。その他の詳細
オプションもデフォルトで OK です。
最後に OK ボタンをクリックして要素タイプの設定を終了します。
シードの定義
シードとはメッシュをどのようなサイズで分割するかということを決める設定です。モデル上
に予めメッシュの基準点となる種(シード)をばらまきます。
パートのシードをクリックします。
よければ適用ボタンをクリックしてモデルで確認後、キャンセルボタンをクリックします。
メッシュの作成
これでメッシュを作成する準備が整いましたので、
パートのメッシュをクリックします。プロンプトエリアに"パートをメッシュ分割しますか?"と
聞いてきますので、"はい"をクリックします。
メッシュ分割が完了すると下図のようにモデルで確認することができます。ちょっと荒いです
が 1000 節点の制限ありますのであしからず・・。
リベットモデルのメッシュ作成
同様の手順ですので詳しくは説明しません。ご自身でやってみてください。ただしプレートの
場合と異なる部分のみ以下に示します。
リベットは円筒形状のため、すべて 6 面体で作成できません。その場合、メッシュコントロー
ルで 6 面体支配を選択します。
(→このページのトップに移動)
解析ジョブの作成と投入
解析ジョブの作成
解析モデルが完成したので、解析ジョブを作成して計算を実行してみましょう。モデルツリー
において解析を展開してジョブの項が表示されるようにします。ジョブの右クリックメニューか
ら"作成"を選択します。この時、ジョブモジュールに自動で切り替わります。
上記操作で現れる"ジョブの作成"ダイアログでジョブの名前に lap_joint と入力、モデルを選択(
Model-1)します。続けるボタンをクリックします。
続く"ジョブの編集"ダイアログでは色々設定はありますが、今回はすべてデフォルトで問題あ
りません。一応その他のタブの設定項目などを確認して OK ボタンをクリックします。
ワーキングディレクトリの設定
解析結果のファイルやログファイルなどはワーキングディレクトリに作成されます。予め設定
しておかないと、どこにファイルが保存されたのか解らなくなってしまうこともありますので、
一応設定しておきましょう。
ファイルメニューからワーキングディレクトリの設定を選択します。ご自身の環境に合わせて
設定ください。
解析ジョブの投入
解析結果の表示
結果ファイルの読み込み
モデルツリーにおいて、ジョブ名(lap_joint)の右クリックメニューから"結果"をクリックします
。
とりあえず コンターを変形図にプロットで結果を表示した図が以下です。
(→このページのトップに移動)
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基礎編
はじめに
基本操作
線形静解析
解析モデル編集方法
要素の性質 1
要素の性質 2
ホイスト式天井クレーン
考察:ホイスト式天井クレーン
丸棒の座屈解析
L 字プレート
非線形解析へのいざない
リベット継ぎ手
回路基板の落下解析(1)
回路基板の落下解析(2)
スロッシング解析
振動解析編
固有値解析
周波数応答解析
(モード法)
周波数応答解析
(直接法)
過渡応答解析
(モード法)
過渡応答解析
(直接法)
・・作成中・・
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